2012年5月13日日曜日

母の日


今日は母の日。

野口英世の母シカの手紙

母のシカは字が書けませんでした。
でも、息子に一目会いたさに
囲炉裏の灰に指で字を書く練習をして
この手紙を書きました。

母シカより野口英世へ

おまイの。しせ(出世)にわ。
みなたまけ(驚ろき)ました。
わたくしもよろこんでをりまする。
なかた(中田)のかんのんさまに。
さまにねん(毎年)。
よこもり(夜篭り)を。いたしました。
べん京なぼでも(勉強いくらしても)。きりかない。
いぼし。ほわ(烏帽子=近所の地名 には)こまりおりますか。 
おまいか。きたならば。もしわけ(申し訳)かてきましよ。
はるになるト。みなほかいド(北海道)に。いてしまいます。
わたしも。こころぼそくありまする。
ドか(どうか)はやく。きてくだされ。
かねを。もろた。こトたれにこきかせません。
それをきかせるトみなのれて(飲まれて)。しまいます。 
はやくきてくたされ。
はやくきてくたされはやくきてくたされ。
はやくきてくたされ。 
いしよ(一生)のたのみて。ありまする。
にし(西)さむいてわ。おかみ(拝み)。
ひかしさむいてわおかみ。しております。 
きた(北)さむいてはおかみおります。
みなみ(南)たむいてわおかんておりまする。 
ついたち(一日)にわしおたち(塩絶ち)をしております。 
ゐ少さま(栄昌様=修験道の僧侶の名前)に。
ついたちにわおかんてもろておりまする。 
なにおわすれても。これわすれません。
さしん(写真)おみるト。
いただいておりまする。
はやくきてくたされ。
いつくるトおせて(教えて)くたされ。
これのへんちちまちて(返事を待って)をりまする。
ねてもねむれません
<意訳>
お前の出世にはみんな驚きました。私も喜んでおります。
中田の観音様に毎年、夜篭りをいたしました。
勉強をいくらしてもきりがありません。
鳥帽子という村からのお金の催促には困ってしまいます。
お前が戻ってきたら申し訳ができましょう。
春になるとみんな北海道に行ってしまいます。
私も心細くなります。
どうか早く帰ってきて下さい。
お金を送ってもらったことは誰にも聞かせません。
それを聞かせると、みんな呑まれてしまいます。
早く帰って来て下さい。
早く帰って来て下さい。
早く帰って来て下さい。
早く帰って来て下さい。一生の頼みであります。
西に向いては拝み、東に向いては拝んでおります。
北に向いては拝んでおります。
南に向いては拝んでおります。
ついたちには塩断ちをしております。
栄昌様についたちには、拝んでもらってます。
何を忘れてもこれは忘れません。
写真を見ると拝んでいます。
早く帰って来て下さい。
いつ帰れるか教えて下さい。
この返事を待っています。寝ても眠れません。

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