今日で

卯月とは
さようなら

四月は
イタリア語で
Aprile（アプリーレ）という

ラテン語のApri（アープリ：開くの意）
に由来する

春になり
「地が開く」という意。

語源は
おもしろい。

夜のしじま

夜のしじまに
身をまかせると
心のパンドラの箱が
ひらく時がある

箱の中身を
ひとつ　ひとつ
省みつつ
じっくり　対峙すると
全ては　暮らしの中に
答えがあることに　きづく

そして

やはり　箱の中には
エルピス（希望）だけが
残っているのではと
淡い願いを抱いて
眠りにつく

声 音 色

むかし
ヨーロッパで
リュートが主役だった時代

その奏者は
気むずかしい
ガット弦の調弦に
人生の大半を
費やすと言われていた

私も
声のチューニングと
声色へ
もっと気を配ろう

人生の大半とは
いかないけれど

ロンサールの己が魂に

私の今月の歌は

P de ロンサール　詩
M　ラヴェル作曲
「ロンサールの己が魂に」

1924年に16世紀の詩人ピエール・ロンサール
生誕四百年を記念して作曲された作品。

アルカイックな響きが
透明な美しさを作りだし
中世の音楽を思わせる。

できることなら
この歌は、
すきとおる声でうたいたい・・・

「ロンサールの魂は
愛らしく　やさしさく
この体の大切なご主人さま

魂は　弱弱しく
蒼ざめ　やせ細り　孤独で
死んだ者たちの冷たい国へ
下りていく

殺人や、毒舌や、怨恨を後悔し
また人気や財産を軽蔑しながら

汝の運命を受け入れよ
そして
わが休息を妨げるな　

われは眠る」

（長尾譲　意訳）

ヘリンボーン

ミラノ　F・テスティ通り　68番地
のマンションの床は
ヘリンボーンの美しい床だった

ヘリンボーンとは
「にしんの骨」の意。

床板の並べ方が
山形を連続させたような模様で
魚の背骨に似ている
ことから名付けられたらしい

なぜか
春の黄昏時になると
あの床の美しさと
天井の高さを思い出す

今は
どんな人が
あのヘリンボーンを
愛でているのだろうか

倹飩扉

倹飩扉は
「けんどんとびら」と読み
上下の溝にはめ込む扉のこと。

実家の祖父母の部屋にあった
茶箪笥には一カ所だけ倹飩扉があった

その扉の向こうには
ガラスの乳鉢と乳棒が
収められていた

子供たちは
その乳鉢でイチゴとサトウを
すりつぶして
食べるのが
たのしみだった

ガラスの乳鉢と乳棒も
めずらしかったが
「簡単に　あけられるが
上手に　しめられない」
倹飩扉がめずらしくて

砂糖イチゴをねだったのかもしれない

イチゴをみて
ふと　思い出した

あいさつ

食べるまえに

「いただきます」

食べおわったら

「ごちそうさまでした」

とあいさつする娘。

しかし

今日も食べおわった後の
あいさつが

「ごちそう　まだ　でした」

になってしまうのでした

いい間違いだとは
わかっていても
「もしかして　本心なのか？」と
ほくそえんでしまいます

今日から

発声のグループレッスンが
新しく開講されました

これから
新しい生徒さん達と
声を育てていくのが
たのしみです

音を愛した人

すきとおる
美しい音を
紡ぎだす
古楽器奏者が
亡くなった

笑顔が
きらきらして
いつも
美しく佇むことを
忘れず
ユーモアが
たっぷりの人だった

形見分けの楽譜も
生前の姿のように
ていねいで美しい

その楽譜を抱えて
歩き出したとき
「音を愛した人の
やさしさ」が
しっかり伝わってきた

そのやさしさは
あたたかく
涙がとまらなかった

楽譜の曲
いつか歌います

きっと。

おばあちゃんのたんじょうび

絶版になってしまった

アリス館出版
フランツ・ブランデンバーグ著
アリキ・ブランデンバーグ画の絵本

「おばあちゃんのたんじょうび」

娘に読みきかせをしたくて
図書館から借りてきた

ページをめくると
ふわっと
思い出が
よみがえった

この絵本にであった
白い木造の
田舎の図書館は
今はないが

本を座ってよんだ
床の木の感触や
夏休みの昼さがりや
とおくに見えた
入道雲をおもいだした

色あわせ

色あわせは
たのしい

モスグリーンにむらさき

水いろにオレンジ

赤サンゴに紺

翡翠に金

最近知った
すてきな色合わせは

グレーと黄色

その黄色は
ミモザのような
黄がいい

卯月

今日から
卯月です

誕生月だから
ではありませんが

まもなく
ソファーが
とどきます

色は
グリーンを
えらびました

みんな
そわそわ
愉しみに
しています